製造業の分野でも製品出荷検査や受入検査を行う際に、検査成績表は必ず作成するものです。品質保証の観点においても検査成績表が適切に作成され管理されているかは重要なポイントです。
作業員が図面を見ながら転記する検査表を作成する負担をなくし、図面から自動寸法抽出できる「検査表システム」を利用して検査工程を効率化させて生産性を向上させませんか?
この記事では、今年バージョンアップした検査表システムの新しい機能を、以下に示すポイントにフォーカスを当てた目次で内容を解説しています。多くの企業様からご要望をいただき、品質管理の現場の声をもとに開発しており、検査工程の効率化を図ると同時に、品質保証の本質を「守る」ためのサポートをいたします。
「分けて」:複数シートに分けて出力できることで、活用シーンの幅が広がります
「見せて」:抽出寸法をわかりやすく見せます
「残して」:編集履歴機能を利用することで、検査の品質・信頼性を「守り」ます
検査表システム Ver.8ならではの機能
検査表システムとは
検査表システムとは、図面から寸法情報を抽出し自動的に寸法一覧表を作成し、検査成績表を作成するシステムです。
手作業で作成していた検査表を自動化することで転記ミスを防ぎ、検査表作成に費やしていた時間を大幅に削減することができます。
検査表システムの導入をきっかけに、検査の作業効率化だけでなく、紙図面での運用からCAD図面のデジタルデータにシフトすることで、品質保証部門におけるDX化の第一歩として期待できます。
複数シートに分けることであらゆるシーンで活用可能に
検査業務を行っている現場のユーザー様から一番多く要望があった機能が、「複数のシートに分けて検査表を作成したい!」というご意見でした。
設計から受け取る図面データは、利用しているCADソフトの設定によって1つのファイルに複数の図面データが存在する場合があります。それらの図面データをそれぞれ別のシートに分けて検査表を完成させるために、複数シートに分ける機能が搭載されました。
他の利用方法としては、検査工程のプロセスによって、検査表を分けて作成する場合に別々の検査シートに出力することができます。
また、1つの図面データの中に複数の部品形状が作図されている場合や検査する寸法線が膨大で1シートに収まり切らないといった場合に、複数シートに分けて検査成績表を作成できます。
下記に、それぞれのシーン別の紹介をしています。
CAD図面が複数のレイアウト空間に分かれてる場合
1つのCAD図面データに、複数部品の図面が設定されている場合(複数のレイアウト空間が存在する場合)、それぞれの図面毎に検査表シートを分けて作成することができます。
検査工程によってシートを分けたい場合
1つの図面でも、検査工程によって検査成績表を分けて作成したいケースもあります。
例えば、寸法通りに作成できてるかを確認するための寸法検査と、目視で確認する目視検査やキズの有無を確認する外観検査を、別シートに分けて検査成績表を出力したい場合に有効です。
図形毎(部品毎)に分けたい場合
1つの図面枠に複数の部品が作図されている場合や、検査する寸法値の数が膨大で1つのシートに収めるには量が多すぎる場合(複数のページに分けて少しずつ検査成績表を作成したい場合)に、任意に図形毎(選択した寸法毎)にシートを分けることができます。
出力エクセル(検査成績表)も複数シート対応
上記では、図面内の寸法線を複数のシートに分けて出力するシーンをご紹介しました。それぞれのシート毎にバルーンの配置、シート名の変更、OK/NG判定といった検査に必要な作業を行うことができます。
では、計測結果の最終的なドキュメント出力(例:エクセル出力など)はどうすればいいでしょうか?
もちろん、複数のシートに分けて検査を行うことができるようになったことに伴い、エクセルの検査成績表に寸法一覧を出力する際も複数シートの出力方法を設定することができるようになります。出力する方法には、以下の3つの方法があります。
- 複数シート毎のエクセルファイル(複数のファイルを生成)
- 複数シート毎にエクセルのシートに作成
- 1つのエクセルファイルにまとめて作成
部品ごとにExcelファイルを複数作成

1つのExcelファイルに複数シートで作成

1つのExcelシートに合算して作成

抽出寸法をわかりやすく見せます
抽出可能な寸法をハイライト表示して事前チェック
検査表システムは、CADソフトがなくともDWG/DXF図面を開くことができます。その図面ビューワーの中で、事前に寸法を自動取得できる寸法と自動取得できない寸法を識別できます。
寸法値を自動で取得できるものはハイライト表示し、できないものはグレイアウトになります。
事前にチェックできることで、寸法一覧を作成する前に、設定の見直しやデータの確認が可能です。一覧を作成した後で設定を変更し、もう一度取得する手間を防ぎます。

抽出した(していない)寸法を簡単に見分けることができます
誰が・いつ・何をしたのか、編集履歴を残します
編集履歴ウィンドウ
寸法一覧表を作成した際の編集履歴を残すことができるようになります。
いつ・誰が・何をしたのか、履歴として残すことで、不適合防止対策としても活用でき、品質保証の本質を守ることに繋がります。
編集履歴には、日時・ユーザー名(パソコンログイン名)・アクション(何を行ったか)・項目名・変更した数値等を残します。
<アクションの種類>
追加・・・寸法を新規に取得した
入力・・・計測値を入力した
変更・・・数値や測定値の変更を行った
削除・・・アイテムを削除した
移動・・・番号の入れ替え作業を行った
確認したい項目のみ抜粋
その他のバージョンアップ機能
項目名(列)の表示を固定
任意の項目名の位置で、左右の移動表示を固定することができるようになります。エクセルと同じ感覚で利用でき、常時確認しながら検査を行いたい項目名を固定し、流動的に表示を移動させたい項目名は自由に表示を移動できます。
イメージ画像では「公差上限」を基準として、そこから左の表示を固定し、右の項目名は左右に移動できます。

判定個数の表示
一覧表示しているアイテム数とOK/NG判定の個数が表示される機能が搭載されました。
寸法一覧ウインドウの右下に、全件数(合計の検査寸法数)・OK判定数・NG判定数・未判定数を常に表示できることで、計測漏れがないかの確認が瞬時に行えます。計測作業の最終確認を実施するときに便利な機能です。

その他さまざまな機能を搭載
- 複数個連番の範囲表記(~表記が可能になります)(例:①~④)
- 図面の排他モード
- 図面の初期フォルダー指定
- 図面表示でのマウスホイール設定
- 普通公差の公差設定名称の変更
- 取得パターンの公差抽出項目追加
- セル移動のCtrlキー操作
- 備考、コメント欄のツールチップ表示
- 番号選択の矩形選択
- CSVインポートの項目関連付け
- 計算式のLOOKUP、MIN、MAX関数追加
- 判定方法の初期値の追加
- イメージ項目の画像のセル内配置
- …




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